【MOSS裏話1】パイオニアが一番最初に作ったボードのシェイプに迫る

ブランドの歴史を知るとモデルへの向き合い方が変わる
節約家スノーボーダーのこくだんです。
日本でスノーボードを一番最初に作ったパイオニア的存在のMOSS。
MOSSスノーボードといえば、自分の滑りを見つめ直すことができる純粋なラウンドボードの銘機「KING」や、カービングに振り切ったフルハンマーヘッドの「LEGIT」、深いターンを楽しめる「REVOLVER」シリーズなど、「圧雪バーンをキレッキレに滑るブランド」という強い印象を持っていました。
そんなMOSSは、一体どんなモデルから始まったのか気になり、試乗会でメーカーの方に直接聞いてみたところ、返ってきたのは意外すぎる答えでした。
「原点はスノーサーフィン。実は、あのモデルが1971年を再現しているんです」
今回は、MOSSのメーカーの方から直接聞いた『MOSS SNOWBOARDの原点』に迫った裏話をお届けします。
最初のモデルはプロトタイプ(1971年)。MOSSの「原点」はサンドイッチ工法ではなかった

雪上にズラリと並ぶ、最新のカービングマシンたち。
セミハンマーやフルハンマーといった「キレモノ」たちが放つ独特のオーラに圧倒されながら、私はMOSSブースの担当者さんに、ずっと気になっていた「ある疑問」をぶつけてみました。
私:「MOSSって日本で一番歴史が長いブランドですよね。やっぱり1971年に作った最初のボードも、今のようなキャンバーの効いたラウンドボードだったんですか?」
担当者さんは、私の問いかけにMOSSスノーボードの歴史を語ってくれました。
担当者さん:「いえ、実は全くの別物なんです。当時のプロトタイプは、今の私たちが当たり前だと思っている『スノーボードの構造』すらしていませんでした」
その言葉に、私は思わず身を乗り出しました。
雪山を「サーフボード」で滑ろうとした男たち
担当者さん:「まだスキーしか存在していなかった時代に、雪山でもサーフィンをしたいと創業者の田沼進三(現在のMOSS社長)が1971年に初めて作り上げたのは、木を削り出す今のボードではなく、『ウレタンフォームをFRP(繊維強化プラスチック)で固めた3D形状のサーフボード状の板』でした。素材も工法も、完全にサーフボードそのものだったんですよ。その頃、海外ではBURTON(バートン)やSIMS(シムス)もSNOWBOARDを作り始めたんです。」
現代のスノーボードは、木材を層状に重ねる「サンドイッチ工法」が主流です。しかし、MOSSの原点はそこにはありませんでした。
私:「えっ、じゃあエッジやバインディングも……?」
担当者さん:「もちろん、ありません。ただ足を乗せるだけの、ツルツルの板です(笑)。雪の上を滑るというよりは、文字通り『雪の上でサーフィンをするための道具』。それが全ての始まりだったんです」
今でこそ「圧雪バーンを攻めるMOSS」という硬派なイメージがありますが、その根底に流れているのは、もっと自由で、もっと純粋な「スノーサーフィン」への憧れだったのです。
■ 50年の時を経て、現代の技術で蘇った「U4」の正体

ここで一つの疑問が浮かびます。
その「原点」は、今どうなっているのか?
実は私たちは今、その原点を最新の乗り味で体験することができるのです。
それが、スノースティックシリーズの中でも異彩を放つ「U4(ユーフォー)」です。

「U4はフリースタイルボードが全盛だった頃、1971年のプロトタイプの形状を引き継ぎ、大きめのノーズと短いテールで中速域で深いターンが取れるコンセプトのボードをサンドイッチ工法で再現しようとして生まれたモデルなんです」
担当者さんは誇らしげに教えてくれました。
1971年のシェイプ × 現代の芯材(ウッドコア)
当時の浮力感 × 現代のスチールエッジによるカービング性能
まさに、半世紀前の情熱と現代のテクノロジーが融合してできたのが、この「U4」というボード。
あの特徴的な、尖ったノーズと計算されたアウトラインは、1971年にすでに完成されていたデザインをルーツに持っているのです。
初の市販モデル:MOSS SNOWSTICK(1979年)

プロトタイプの試行錯誤を経て、1979年に世界で初めて量産型スノーボードとしてリリースされたのが、伝説の「MOSSSNOWSTICK(モススノースティック)」です。
そこから歴史が始まったのです。
なぜ「パイオニア」と呼ばれるのか
- 専用設計: スキーの流用ではなく、サーフィンの動きを雪山で再現するために独自進化させたこと。
- 継続性: 1971年から現在に至るまで、ブランドが途絶えることなく革新を続けていること。
- スタイルの確立: 「パウダーを滑る」「地形を楽しむ」という現在のフリーライディングの基礎を、半世紀前から提唱していたこと。
現在でも、この原点のコンセプトを継承した「MOSS SNOWSTICK」というブランドラインが展開されており、独特のシェイプ(魚のようなテールなど)は世界中のライダーから愛されています。
■ 「圧雪のMOSS」のルーツは「パウダーのスノーサーフィン」にあった
REVOLVERやLEGITといった、キレのあるカービングボードで知られるMOSS。
しかし、その根底に流れているのは「いかに雪の上で自由なラインを描くか」というスノーサーフィンの哲学でした。
「U4」は、ただのレトロなボードではないことが分かります。
低速でもスルスルと動く操作性と、パウダーに突っ込んだ時の圧倒的な安心感。
オープンバーンやフラットバーンでもサーフライクな操作性を表現できる絶妙なキャンバー設計。
これこそが、日本で一番最初にスノーボードを作ったパイオニアたちが追い求めた「究極の遊び」の形だったわけです。
まとめ:原点を知ると、滑りがもっと楽しくなる
今回のインタビューを通して、MOSSというブランドの見方が少し変わりました。
「硬いバーンを攻めるための道具」を作るブランドであると同時に、「雪山という大きな波に乗るための情熱」を50年以上守り続けているブランドなのだと。
『1971』と刻まれたU4の乗り味を知ることで、わずかながらにMOSSの歴史に触れられる気がしました。

雪山を夢見た先駆者たちの技術と熱意が、いま私たちが当たり前にスノーボードを楽しめる世界を作り出してくれたのだと思うと、本当に感慨深いものがあります。
流行りのスペックを追いかけるのも楽しいですが、こうした『物語のある1枚』を長く大切に乗り続けることこそ、スノーボーダーにとって最高の『贅沢』であり、最も費用対効果の高い楽しみ方なのかもと感じる体験でした。
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