【MOSS裏話2】なぜパウダーモデルが2つもあるの?メーカーさんに直撃して分かった「Q」と「SNOWSTICK」の決定的な違い

MOSSには『SNOWSTICK』というパウダー向けブランドがあるのに、なぜパウダーモデルの『Qシリーズ』はSNOWSTICKのカテゴリーに入っていないのか?
節約家スノーボーダーのこくだんです。
スノーボードカタログを眺めていると、ふと疑問を感じる事ってありますよね。
MOSSのカタログを見て私が特に気になっていたのが、「Q(キュー)シリーズ」と「SNOWSTICK(スノースティック)」の住み分けです。
どちらもパウダーに最高なモデルだと推測しましたが、Qシリーズだけが、SNOWSTICKではなく、どうして『MOSS SNOWBOARD』に分けられているのか?
そこで、ダイナランドで開催された試乗会でMOSSのメーカー担当者さんに、ぶっちゃけ質問をぶつけてきました。
そこで分かったのは、見ている世界の違いでした。
深く計算された設計の違いにより、実は明確に住み分けられていた事実を私の体験をもとにお話しします。
【MOSS】原点回帰のSNOWSTICKと、進化のQシリーズ

MOSSというブランドを語る上で、まず理解しておかなければならない「大きな分岐点」があります。それが、「スノーサーフィン」なのか「スノーボード」なのかという違いです。
1. 『SNOWSTICK』はスノーボードではない?
「MOSS SNOWSTICK」は、単なるパウダーボードのシリーズではありません。
日本におけるパイオニアであるMOSSの「原点」であり、雪山を波に見立ててサーフィンを楽しむための「雪上のサーフボード」という立ち位置です。
- 目的: 飛んだり跳ねたり、回したりすることではない。
- スタイル: パウダーや地形を使い、優雅に、あるいはダイナミックに「サーフライド」すること。
だからこそ、設計が極端なんです。
ボトムの設定を見ると、スノースティックのキャンバーは本当にスタンスの間にあるかないかという程度。
残りの大部分はロッカー形状になっているのです。
「フルロッカーにすればパウダーで浮くけれど、それではゲレンデでのターンやグリップが犠牲になりすぎる。だから、サーフライドを楽しむための『最低限のキャンバー』だけを残しているんです」と実際に指さしながらキャンバーの位置を説明してくれました。

「オーリーで高く飛ぶ」といったスノーボード特有の反発や力強さは、あえて考えない。
その潔さこそがSNOWSTICKのアイデンティティなのですね。
2. 『MOSS SNOWBOARDS』の進化系、Qシリーズ
対して、私たちがよく知る「現代的なスノーボード」の進化を歩んできたのが「MOSS SNOWBOARDS」のラインナップです。
強いグリップでのカービング、反発を活かしたジャンプ、パイプでのトリッキーな動き。
これらを可能にするのがスノーボードのテクノロジーです。
そのスノーボーディングの中で、「パウダーや地形」に特化して生まれたのがBURNER(バーナー)や廣田鉄平氏が手がけるQシリーズでした。
一見、スノースティックに近いシェイプ(形)をしていますが、中身は別物。
「Qシリーズは、スノースティックよりもキャンバーの範囲が長く、しっかり残してあるんです」

メーカーの方が「この辺りまでキャンバーが残してある」と丁寧に説明してくれました。
これにより、スノースティックでは難しい「板の反発を使った粘りのあるターン」や「圧雪バーンでのハイスピードなフリーライディング」が可能になります。
つまり、スノーボードとして培ってきた乗り方をそのままパウダーや地形に持ち込めるオールラウンドボード、それがQシリーズの正体でした。
【実践編】Qシリーズの異端児「Q2」を徹底チェック!
理論を頭に入れたところで、次は実際にボードに乗り込んでみました。今回私が選んだのは、Qシリーズの中でも「ツインシェイプ」という独特な立ち位置の『Q2』です。
1. 「柔らかいのに強い」絶妙なフレックス
まず驚いたのがそのフレックス(板の硬さ)です。
「パウダーボードだし、遊びやすいように柔らかめかな?」と想像していましたが、ただ柔らかいだけの「グニャグニャ」な板ではありませんでした。
手で押さえると確かにしなやか。
でも、滑り出すと「安心できるハリと強さ」がしっかり芯にあるんです。
この「しっかり感」があるおかげで、低速での遊びやすさと、高速域での安心感が両立されています。
2. ロッカー×キャンバーが生む「自由自在」な操作感
Q2はノーズとテールがロッカー形状になっているため、地形へのアプローチがとにかくスムーズ!
「ここで板をズラしたい」と思った瞬間のスライド操作が驚くほど楽なんです。
それでいて、ターンで足下にグッと体重を乗せ込んであげれば、エッジが雪面を捉えてカービングがズレることなく「バシッ」とキレてくれます。
まさに、メーカーさんが言っていた「スノーボードとしてのグリップ力」をしっかり継承している証拠ですね。
3. ツインシェイプの真骨頂「スイッチでも切れる」
そしてQ2最大の特徴が、前後で2ミリしか差がないほぼツインのシェイプ。
パウダーボードでありながら、スイッチ(逆向き)で滑った時の違和感のなさが凄まじいです。
「スイッチでカービングしても、レギュラーと左右の差をほとんど感じない……!」
左右どちらでもキレのあるターンができるので、180回してスイッチのターンを切りながら地形に入ったり、地形で180回してレギュラースタンスでそのまま圧雪バーンを駆け抜けたり。
まさに「山全体を遊び場に変える、ツインタイプのパウダーボード」という乗り味でした。
実際にU4に試乗してみたら秀逸すぎた
続いては詳しくボードのスペックを説明してもらったU4。
実は、メーカーさんの「SNOWSTICKはキャンバーが極端に短い」という話を聞いていたので私は少し不安になりました。
「U4、圧雪バーンでは不安定でバタつくんじゃないの……?」
パウダー向けならフレックスも柔らかいだろうし、カービングはそこそこに流す程度かな。そんな私の勝手な想定は、最初の一ターン目で見事に打ち砕かれました。
「……えっ、何これ。めちゃくちゃ切れるじゃん!」
短いキャンバーの「不安定さ」がどこにもない
驚いたのは、U4のエッジの食いつきです。
キャンバーが短いからといって、決して頼りないわけではありませんでした。
むしろ、想定外に「硬めのフレックス」が効いているんです。
短いキャンバーでも、板をしっかり踏み込めばその反発がダイレクトに伝わり、バタつくどころか抜群の安定感。
狙ったラインをズレることなく、グイグイとカービングで切り裂いていけます。
それでいて、地形遊びはテールが引っかからずにずらしやすい!
パウダーだけでなく、圧雪バーンのためにキャンバー残しているという理由に納得できる滑り心地でした。
MOSSの技術力の結晶
Q2とU4は「パウダー向けは柔らかい」という常識を覆し、短いキャンバーと絶妙なフレックスバランスで、圧雪バーンでもここまで気持ちよくキレるターンを実現させてしまう。
これこそが、MOSSが長年培ってきた「ものづくりの技術」なんだと、滑りながら鳥肌が立ちました。
理論(メーカーの話)を聞いて納得し、体感(試乗)して感動する。
今回の試乗会は、私にとって「パウダーボード」という概念が180度変わる、最高に濃い体験になりました。
結論:QとSNOWSTICK、最後に背中を押すなら
メーカーさんの言葉と、私の試乗体験を合わせると、答えはこうです。
「パウダーでの自由な動きを極めたい。でも、ゲレンデに戻っても『攻め』のカービングを諦めたくない!」
そんな、ちょっと欲張りでマニアックなあなたには、SNOWSTICK U4。
あの短いキャンバーと硬めのフレックスが、魔法のような乗り味を教えてくれます。
「より高速域での安定感と、どんな雪質でも外さない万能な走破性が欲しい」
それなら、広いキャンバーを持つQシリーズが最高の相棒になるはずです。
どちらを選んでも、そこにはMOSSのエンジニアたちの情熱が詰まっています。
「どっちがいい」ではなく、「どう遊びたいか」でキャンバーの長さが決まる。
MOSSのボード作りは、私たちが思っている以上に「遊びのスタイル」に対してストイックに設計されていました。
MOSSスノーボードの技術者の情熱に触れられた良い体験になったのでした。
決して安い買い物ではないパウダーボード。
だからこそ、自分のスタイル(サーフライドかフリーライドか)を明確にすることが、失敗しない最高のコストパフォーマンスにつながるのだと実感しました。
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