FNTCといえば、グラトリ向けのボードが多いイメージですよね。
その中でも、満を持して登場した「グラトリ専用モデル」SSS。
一体どんな乗り味なのか、私と同じように気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、「グラトリ初心者の私がSSSを使ったらどうなるか？」という視点で、その性能を試乗会で体感したので徹底的にレビューします。
ゲレンデで感じたリアルな感覚と、カタログに隠されたボードの秘密。
そのすべてを余すことなくお伝えします。
果たして、SSSは本当にグラトリ初心者の救世主になってくれるのでしょうか？
身長162cm 体重53kg
愛用ボード OGASAKA FC 154
ブーツ RIDE RASSO PRO WIDE 25.0cm
バイン FLUX XF (S)
【25-26モデル】FNTCの新作「SSS」はグラトリ初心者にどうなの？リアルな試乗レビュー！
グラトリ専用モデルという言葉に惹かれ、今回SSSの試乗を決意しました。試乗会では、「今までのモデルと何が違うのか？」「グラトリ初心者でも扱えるのか？」といった、頭の中の疑問を一つずつ確かめていきました。
グラトリ初心者、FNTCの新作ボード「SSS」を初体験！
やってきました、ホワイトピアたかす。
試乗会当日、ゲレンデに降り注ぐのはあいにくの雨。
雪は重く、視界もぼんやりと霞んでいますが、私の胸は高鳴っていました。
お目当ては、25-26シーズンから新たに投入されるFNTCのグラトリ専用モデル、
その名もSSS（トリプルエス）です。
今までもグラトリ向けのモデルが多いイメージのFNTCから、よりグラトリに特化したモデルが投入されると聞いたら、グラトリ初心者の私でも気にならずにはいられません。
そこで今回は、
「グラトリ初心者が使ってみたらどうなる？」
という視点で、SSSの性能を徹底的にレビューしてみたいと思います。
私が選んだのは147cm。
身長162cmの私にはちょうどいいサイズ感です。
手に取った瞬間、その軽さに驚きました。
さすがグラトリ特化モデルというだけありますね。
ノーズは少しだけ四角っぽいスクエア気味の形状で、
ソール側から見てみると、サイドカーブはそれほどキツくなさそうに見えます。
ソールは真っ白でグラフィックは一切なし。
カタログで見たグラフィックとは違うので、おそらく試乗機用なのでしょう。
そして、真横から見ると、ダブルキャンバー形状がはっきりと分かります。
ボードの中央が一番低く、ノーズとテールにかけて浮き上がっているこの形状が、後の滑りでどんな影響を与えるのか楽しみです。
驚きのフレックスと操作性！SSSは本当にグラトリ初心者の救世主か？
バインディングを取り付け、いざスケーティングでリフト乗り場へ。
スケーティングしてみると、ボードの軽さがそのまま操作性の良さにつながっていることがすぐに分かりました。
リフト乗車すると、SSSの軽さを再度実感できました。
続いて、リフトを降りてフラットなバーンで、まずはフレックスとトーションを確かめます。
ノーズやテールに体重をかけたり、足を交互にねじってみると、想像通り柔らかいですね。
体重も軽く、脚力弱めの私でもボードのしなやかさを感じられるほどのフレックス。
特にセンター部分のしなりは特筆ものです。
ダブルキャンバーならではの、センターからしなる柔らかさがあります。
ダブルキャンバーといえば、スライド性能。
そして初心者にとって最初の壁となるゼロドライブ（フラットでの回転）はどうでしょうか？
実際にやってみると、これが本当に回しやすい！
エッジの引っ掛かりが全くなくて、クルッと気持ちよく回れます。
続いて、緩斜面で木の葉滑りをしながら、ノーズとテールを交互にスライドさせてみます。
すると、足元だけが雪面に接地して、ノーズやテールのエッジが浮いているような感覚で、スルスルと滑っていくことができます。
この日、10モデル以上のグラトリ向けボードに試乗したのですが、足元でのスライド操作性はSSSがダントツで良かったです。
滑りながらのドライブスピンもエッジの引っ掛かりを気にせずトライできるので、グラトリ初心者にうってつけですね。
これから習得したいと思っているオーウェンにも挑戦してみました。
オーウェンはテンポよく荷重を移動しながらボード上でノーズ・テールと乗り換える動作が重要ですが、初心者だとどうしても不安定になりがちです。
そんな中で、スライドさせやすいSSSはボードの操作感覚が掴みやすく、足の乗せ換え動作が驚くほどやりやすいです。
もしキャンバーボードで同じことをしたら、初心者レベルの私は間違いなく逆エッジで転んでしまうだろうと思います（笑）
そう考えると、このSSSの操作感はさすがグラトリ特化モデルだと感心せざるを得ません。
柔らかくてしなやかなSSSのドルフィンターンはどんな感触なのだろうか？
不慣れながらも挑戦してみると、しなやかさを生かしてドルフィンはできません（笑）
グラトリ向けモデルの柔らかい特徴を生かした滑りを表現するには、やはり技術が必要ですね。
柔らか良いボードを使えば、ドルフィンターンも簡単にできるのではと幻想を抱いていた私には良い経験となりました。
メーカーに直撃！SSSがカービングも楽しめる秘密とは？
グラトリ特化モデルのカービング性能はどうでしょうか？
普段は硬めのボードでカービングを楽しんでいる私には気になるところ。
グラトリに振り切っているSSS、ダブルキャンバー形状でカービングに挑戦です。
この日は、雨で雪がシャバシャバの緩んだコンディション。
カービングしたとたんにノーズが刺さって転ぶのか、
それとも、エッジが噛まなくてバランスを崩して転ぶのか…
ウエスト幅も特別太くない147cmのSSSで、スピードを乗せてターンを刻んでいくと……
「え、カービングも楽しめるじゃないか！」
想像よりエッジングも安定してズレにくい。
柔らかい雪ということもありエッジが抜けることもなく、足元に意識を集中させて荷重をかければ、ボードが暴れることなくしっかりと雪面を捉えてくれます。
柔らかい雪というコンディションも影響していると思いますが…
このSSS、カービングもできるポテンシャルを秘めているようです。
ガリガリアイスバーンのカービングならエッジがすっぽ抜けてそうですけど（笑）
SSSは一般ボーダーレベルのスピードならカービングもできるんじゃない！?
試乗を終え、ボードを返却する際に、この疑問をメーカーの方にぶつけてみました。
「SSSってグラトリ特化モデルかと思ってたんですけど、カービングしてみると意外と安定してキレるんですが、なんでなんですか？」
その秘密を、メーカーの方がこっそり教えてくれました。
「実は、設計者がテクニカル系のワールドカップにも出場するような人なんです。だからFNTCの板って、グラトリボードでもターンが切れちゃうんですよ（笑）」
カービングできるんじゃないか？との疑問にまさかの肯定的な答えが返ってくるとは。
私の思い過ごしではなくて、やはりカービングもやれちゃうモデルと言うことなんですね。
柔らかくて扱いやすいのに、カービングまで楽しめるSSS。
NEWモデルのポテンシャルを肌で感じ、私は大満足で試乗を終えたのでした。
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試乗したSSSをカタログから深掘りしてみた
グラトリ初心者レベルの私でも、SSSの軽快な操作性は本当に驚きでした。あの乗り味は一体どこから生まれているんだろう？そんな疑問を解決すべく、ここからは試乗で感じた感覚をカタログスペックから深掘りしていきたいと思います。
SSSの構造：カタログから読み解くグラトリ特化の秘密
試乗を終えてカタログを見てみると、私が感じた乗り味にはちゃんと理由があったのだと納得しました。
SSSのコア材には、軽量化と強度を両立させるためにハニカムコアとカーボン織布が採用されています。
※画像は公式サイトから引用しています。
特に、足間にあるハニカムコアは、ボードの軽量化だけでなく振動吸収の効果もあるのだとか。
また、SSSの最大の特徴であるダブルキャンバー形状。
これにより、センター部分を支点にして、ノーズやテールのエッジが浮くような感覚になるため、私のようなグラトリ初心者でもスピンがしやすかったのです。
試乗で感じたスライドのしやすさや、オーウェンに挑戦できた理由が、このダブルキャンバー形状にあったのですね。
SSSの軽さの秘密はコアとトップシート
試乗した際に、まず手に取った瞬間に感じたのが「軽さ」でした。
この軽さの秘密は、カタログの「HONEYCOMB CORE」の記載から、コア材にあるのだろうと推測していました。
しかし、そこだけではありませんでした。
更に軽量化の為に、新素材のトップシートも採用しているとカタログに明記されていました。
ハニカムコアによる軽量化だけでなく、目に見えない部分にも徹底的にこだわって作られていることが、SSSの驚くべき軽さを生み出しているのですね。
カービング性能も見落とせない理由
グラトリ特化モデルだからといって、カービング性能がないわけではありません。
実は、試乗で感じたカービング時の安定感とキレには、カタログとメーカーの方の言葉に隠された秘密がありました。
試乗レビューでもお伝えしたように、SSSにはテクニカル系のワールドカップでの経験を持つ設計者が関わっているとメーカーの方から聞きました。
調べてみると、FNTCのボードはプロダクトマネージャーの「ジェリーさん」が長年ワールドカップシーンで培ったデータを駆使して設計されているとのこと。
※画像は公式サイトから引用しています。
だからこそ、ディープなカービングに特化したモデルには及ばないまでも、グラトリの合間にカービングでスピードに乗って滑ることも十分楽しめます。
これなら、グラトリを楽しみながら、ゲレンデ全体を気持ちよくクルージングすることもできるので、滑りの幅が広がりそうですね。
カタログからSSSの構造や技術を深掘りすることで、試乗で感じた感覚をより深く考察することができました。
SSSのサイズ展開
※画像は公式サイトから引用しています。
SSSは147～153までの3サイズ展開。
ダブルキャンバーモデルのTNT-Rと同じアウトラインになっています。
【25-26モデル】FNTCの新作「SSS」はグラトリ初心者にどうなの？リアルな試乗レビュー！総括
試乗で感じたリアルな感覚から、カタログスペックによる裏付けまで、SSSの魅力を徹底的に深掘りしてきました。改めてSSSの強みをまとめると、以下の3点に集約されると思います。
- 驚くほどの操作性： ダブルキャンバー形状とソフトなフレックス、そして「ねじれやすさ」のおかげで、エッジの引っかかりがなく、グラトリ初心者でもスライドやスピンが簡単にできる。
- 圧倒的な軽さ： ハニカムコアと新素材のトップシートによる徹底した軽量化が、ボードの扱いやすさに直結している。脚力弱めの人でも扱いやすい軽さ。
- カービング性能： グラトリ特化モデルでありながら、ワールドカップ出場経験のある設計者が関わることで、カービングも楽しめるポテンシャルを秘めている。
正直なところ、グラトリ初心者にとって「グラトリ専用モデル」と聞くと、少しハードルが高いと感じるかもしれません。
しかし、実際に試乗して感じたのは、「とにかく扱いやすい」というSSSの優しさでした。
これからグラトリを始めたい人、グラトリの練習を始めたばかりの人、そして柔らかいボードでゲレンデ全体を遊び尽くしたい人は楽しめるボードなのではないかと感じました。
