カービングに慣れてきて、「もう一段階、スピードとキレを極めたい」と感じているそこのアナタ!
そんなカービングへの熱い思いを持つボーダーが気になるであろうエキスパートモデル、FC-S。
「FC-Sは速い、キレる」とSNSでも耳にする。しかし、中級者の自分でも、その性能を乗りこなせるのだろうか?
ステップアップすべきタイミングはいつなのか、疑問に思っていました。
長年FCを愛用してきた私もFC-Sの存在はかなり気になっていました。
そんなFCユーザーの私が、24-25モデルのFC-S157Wに実際に試乗し、その爆発的な加速感の裏に潜むシビアな操作性を、正直な中級者目線でレビューします。
FC-SWが「カービングを極めたいスノーボーダー」の近道になるのか… 乗り比べたユーザー目線で、FCとの決定的な違いをお伝えします!
カービングの安定感: 95点(段違いの加速と、雪を切り裂くような安定感)
中級者の扱いやすさ: 55点(明確な技術と脚力が必要。FCのようにオートマチックではない)
グラトリ適正(遊びやすさ): 15点(硬さと重量で困難。板を回す・弾くには相当なパワーと技術が必要)
総評: 挑戦したいボーダーに贈る、最速の”進化”ボード。爆発的な加速感を享受できるが、乗りこなすには明確な技術的課題が残る。FCに限界を感じたハイレベルなボーダーにとって、最高の「成長」を与えてくれる一台
【重要:こくだん評価の採点基準】 この評価は、私(こくだん)個人の「カービング中級レベル、グラトリ初心者レベル」という独自の体感に基づいています。一般的なプロライダーの評価やスペック評価ではなく、中級者が『乗りこなせるか、楽しめるか』というリアルな視点を最重視して点数化しています。
身長162cm 体重53kg
愛用ボード OGASAKA FC 154
ブーツ ナイトロ クラウン 24.5cm
バイン FLUX XF (S)
24-25 FC-SW試乗レビュー!FCユーザーの中級者が「段違いな加速」のエキスパートモデルを乗りこなせるか?

2024年の3月上旬にめいほうスキー場で開催された試乗会。FC157に続いて試乗したのがFC‐S157W。エキスパートモデルという位置付けにハードルの高さを感じつつも、中級者レベルの私がどの程度扱えるボードなのかをリアルにレビューしていきたいと思います。
OGASAKA 24-25モデルのFC-S157Wに試乗してみた

めいほうスキーで開催された試乗会。
FC157に続いて試乗したのがFC‐S157Wです。
FCとFC-Sで比較できたら良かったのですが、人気のFCシリーズはほぼ貸し出し中…
と言うことで、FC-S157Wを試乗することになりました。

ここで、FC-Sがどんなボードなのかを改めて確認しておきましょう。
カービングモデルのOGASAKA FCには別モデルとしてFC-Sがあります。
『FC-S』の『S』ってソフトで柔らかいってこと?と思うかもしれませんが、逆なんですよね。
『S』は「Stiff(スティッフ=硬い)」を意味していて、カタログではFC-Sの位置付けはエキスパートモデル。
「カービングを極めた猛者向け」と言われているFCーS。
ボードが硬い分、しっかりと板を立ててたわませられないと扱えないと言われています。
正直、グラトリ初心者でカービングも自称中級者レベルの私が、このボードを試乗するのは無謀なのかもしれない…
とはいえ、エキスパートモデルなんて試乗会でしか体感できませんから、FC‐SWに試乗できるだけでもテンションは上がります☆彡
不安と期待が入り混じりながら、まずは手にしたFCーS157Wのボード全体を確認してみます。
予想以上の太さ。FCとの明確な違いは「ソールの走り」か?

23-24モデルからデザインや仕様が変更されたFCーS。
24-25モデルはシロクマがデザインされています。
パッと見た印象は、やはりワイドな分のボードが全体的に太いです。
バインディングを装着すると、FLUX XFのカラーリングと似合っていて良い感じではないですか(笑)

バインを装着したのでまずはリフト乗り場までスケーティングしてみます。
OGASAKAボード全般に言えることですが、ソールの走りの良さを感じます。
ただ、この段階ではFCとの明確な違いは感じ取れません。
中級者レベルの私では、スケーティングで詳細な違いが分かるほどの差はないようです(笑)。

FC157とFC-S157Wの違いをどう感じられるのか、期待しながらリフトに乗車します。
24-25 FC-SWのフレックスやはり硬め。そして違いは圧倒的にFCよりも「速い」!
リフトを降りてバインを締めたら、トーションやフレックスをチェック。
ノーズ、テールと体重をかけてみると、やはりしならせにくいです。
FCがしなやかに曲がった部分で、FC-SWは「グッ」と止まるような抵抗感。
メタル入りのボードほどの硬さはありませんが、FCよりはしっかりとした硬さを感じます。
「やっぱり硬い。こ、これはヤバいぞ…」と不安を抱えながら、FCーS157Wの試乗開始です。
バーンは寒気の影響もあって程よく締まった、カービングが気持ちよさそうな中斜面。

さっそく滑り出してみると…
ヒールサイドターンから入ってトウサイドターン→ヒールサイドターンと繰り返すと、FCーSWはFCと比較して明らかにスピードが出る。
想像していた以上の加速力。
3つターンしただけで体が置いていかれそうになるほどの圧倒的な加速力を感じます。
「なにこのボード、速っ!」って思わずつぶやいてしまいました。
中斜面でありながらも体感速度はかなり出ました。
速度調整の技術がないと扱いきれなくて本当に危ないですね(笑)
速度に乗せながら「キレと加速感」を体感
速くてキレがあることが分かったので、自分のペースでカービングターンの感触を確かめていきます。
この先のバーンは、中斜面から緩やかなグラトリもやりやすいような斜度が続いていきます。
ボードに体重を乗せながらカービングを繰り返していくと…
FC-S157Wはターン前半は良く曲がるし、ターン後半も思っていた以上に曲がるしキレる。
速度に乗せながらのターン後半は抜ける感じがスムーズで、ボードを踏み込むことでの加速感があって面白い。
しかもワイドなウエスト幅のお陰でボードも立てられるし、安定感もある。
ワイドなウエストで雪面を噛んで離さない安定感は独特の感覚です。
ターン後半でボードに荷重をかけると、どんどん加速したターンを描けてスピードに乗せた滑りが気持ちいい。
23-24モデルから変更されたアウトラインのお陰でリリース当初のモデルよりは扱いやすく滑りやすくなったと聞いていたけど、この加速感と安定性はまさに衝撃。
スペック表で数値を確認した時には、OGASAKA FCとFC-Sはアウトライン形状の違いからターン弧に違いが出ると予測。
FCは半円を描くようなターン弧なのに対して、FC-Sは半円ではなくターン後半で直線的にターンを抜けて加速していくようなターン形状になるはず…
なのにターンの後半でも気持ちよく曲がっていく感覚はある。
きっと、滑っている姿を映像で見るとターン後半は直線的なラインを通っているんだろうけど、滑っている自分の感覚ではターン後半も切れ上がるように曲がっていく。
キレてしっかりと曲がりながらもターン後半で加速した滑りの感覚を味わえる。
そのまま一気に斜面を滑り降りていってしまうくらいに気持ちよく滑る。
FC157との比較になるんですけど、ボードが硬くて速度も出せるし、ワイドなウエストでボードも立てられるという違いを強く体感できました。
FCユーザーとして、スピードに乗せたカービングを楽しめるFCーSWは衝撃的にいいボードだと素直に感じました。
ただ、私のようなFCユーザーの中級者レベルでFC-SWは扱いきれるのだろうかと自問自答してみました。
気持ちよくはカービングできた…。
しかし、私が滑ったのは割と斜度の緩いバーン。
私のレベルでは、FC-SW157Wの真のポテンシャルを安定して引き出すには至っていないのだろう…というのが正直なところです。
FC-SWを乗りこなすには、強靭な脚力と繊細なエッジコントロール技術が必要。
やはり、エキスパートモデルだと実感しました。
しかし、「カービングの楽しさ」だけで考えるのなら話は別です。
『FC-SW』は、カービングが気持ちよく滑られるレベルの人なら、その片鱗を十分に味わうことができます。
強靭な脚力と繊細なエッジコントロール技術が必要とされるのは、その先のハイレベル、つまり「競技」や「限界走行」を目指す時です。
今のカービングボードに限界を感じ、「次のステージ」へ進化したいハイレベルな人にとって、FC-SWは最高の挑戦と楽しみを与えてくれるモデルになると言えそうです。
こくだん思う、FC-Sを選ぶ際の判断基準
正直に言って、FC-SWは「誰でもウェルカム!」という万人受けする板ではありません。
でも、「この板を乗りこなしてやる!」という熱い気持ちを持っているなら、こんなことを考えてみてください。
- 高速カービングへの明確なこだわりがあるか: 中低速域でのコントロール性より、「踏み込んだ後の爆発的な加速感」を最も重視したいボーダーには向いていると思います。FC-Sのシビアさを受け入れ、高みを目指す熱い気持ちがあるなら、期待を裏切らないモデルだと言えます。
- . FC-SWの「壁」を、成長の糧にできるか: 現在乗っている板で「ターンが抜ける」「もっと倒し込みたい」という明確な課題がある人にとって、FC-Sは強制的に「強靭な体幹と脚力」を要求してきます。FCと段違いの「硬さ」を「ポテンシャル」に変える挑戦ができる人なら面白いモデルです。「がっつり筋トレが必要かも」と覚悟し、それを楽しめるレベルの熱意があるなら、この板は期待を裏切りません。(私も筋トレしなきゃと思わされました)
- ステップアップの「順番」を意識する: もしあなたがカービング系モデル未経験のスノーボーダーなら、まずはFCから始めることを、こくだんは強くおすすめします! FCで安定感を身につけ、「FCの限界」を感じてからFC-S Wへ進む方が、上達への最短ルートなのではないかと思います。(脚力弱めの一般ボーダーの私にとってはFC-SWは思った以上に硬く感じました)
《加速感が気持ちいいOGASAKAボードならCT-Sも外せない!》
こくだんスノーボードの全試乗モデルが一覧になったページはコチラをチェック!
試乗したFC-SWをカタログスペック表から深掘り

FC-S157Wの体が取り残されるほどの加速体験を裏付けるため、ここでFC-S157Wのカタログスペックを、愛用機であるFC 154、そして試乗経験のあるFC 157と比較しながら深掘りします。
試乗したFC-S157Wをカタログスペック表から深掘りしてみた
「やっぱりFC-Sって、ただ硬くて速いだけの板じゃないんだ!」
そう思えた理由が、この数字の羅列に隠されていました。
| 項目 | ウエスト幅 (mm) | 有効エッジ (mm) | コア材 | PCプレート | 硬さの根源 |
| 試乗モデル:FC-S 157W | 260 | 1320 | OGK2 CORE | Type-S | Glass Fiber + Carbon Ribbon Wide |
| 試乗経験:FC 157 | 249 | 1280 | OGK2 CORE | Type-S | Glass Fiber + Carbon Ribbon |
| 愛用モデル:FC 154 | 246 | 1250 | OGK2 CORE | Type-S | Glass Fiber + Carbon Ribbon |
| FC-S157WがFC 157より優位な点 | +11 mm (ドラグ抑制、倒し込み性能) | +40 mm (高速安定性、エッジグリップ) | FCと同じ。硬さの根源ではない。 | FCと同じ。硬さの根源ではない。 | カーボンリボンがワイド化 (圧倒的な反発力、高速安定性) |
⇔表はスライドできます⇒
FC-SがFCと決定的に違う唯一の構造「Carbon Ribbon Wide」
FC-SがFCと決定的に異なるのは、ボードの心臓部である「コア材(OGK2 CORE)」や「PCプレート(Type-S)」ではないことが判明しました。
これらはFCのハイエンドモデルと同じ構造を共有しています。
FC-SWの圧倒的な硬さと推進力の根源は、補強材の「Carbon Ribbon Wide」にあります。
「S」(Stiff=硬い)という名の通り、FC-Sはカーボンリボンをワイド化することで、FCを遥かに超えるトーション(ねじれ)剛性とフレックス(たわみ)の硬さを実現してたのだと推測しました。
ただ、カタログではリボンの配置図は見当たらないため、どのような形でリボンが配置されているのかまでは分析できませんでした。
「太さ(260mm)」が中級者に与える意外なメリット
試乗時に「予想以上に太い」と感じたFC-S 157Wのウエスト幅は 260mm。
これは、FC 157と比べても11mmも広く設計されています。
FC-Sは、極限までボードを倒し込む競技志向の設計。
このワイド幅は、本来プロがドラグを防ぐために必要とするものですが、中級者の私たちにも大きな恩恵をもたらしてくれました。
それは、「安心して踏み込める余裕」です。
普段のFCならドラグを気にする角度でも、FC-S157Wなら雪面をガッチリ噛んで離さない感覚を体感できました。
この圧倒的な安定感こそが、私のレベルでも「段違いな加速」を気持ちよく楽しめた最大の要因だと気づきました。
競技用の太さが、私のような一般ボーダーのカービングへの自信を後押ししてくれたわけです。
【FCユーザーが挑戦】24-25 FC-SW試乗レビュー!「加速が段違い」なのに中級者が乗りこなせるか?のまとめ
カタログには「23-24モデルからフルモデルチェンジし、安定性は維持しつつもカービングのコントロール性を強化」とあります。
FC-Sは、相変わらず「エキスパートモデル」という位置づけは変わりません。
しかし、ただ硬くてシビアなだけでなく、**限界走行を可能にするための「安定感」が、結果として「カービング中級者でも体感できる心地よい高速滑走」**に繋がっていることが分かりました。
FCに慣れてきた人がFC-Sに乗ると、「制御不能な速さ」ではなく、「最高に気持ちいい加速」という扉が開きます。
このボードは、「競技志向という壁」の向こう側にある「カービングの究極の楽しさ」を、今のレベルでも垣間見せてくれる、最高の“挑戦ボードだと言えます。














